第4部 「旧町名」を語りながら名古屋の歴史を楽しむ

興味深い旧町名 その② 伝馬町

 伝馬町筋は、桜通の1本南側の道路だ。本町を境にして、西側が「伝馬町(てんまちょう)」で、東側が「宮町(みやまち)」だった。伝馬町という町名も、価値があるものだったと思う。

 伝馬町というのは、その名の通り、江戸時代は馬を乗り継ぐところで、交通の要衝だった。

伝馬町
明治時代、伝馬町は銀行が軒を並べる“ウォールストリート”だった
(●は当時の場所)

 伝馬町には問屋場が置かれていた。常備の人足100人、伝馬100匹で美濃路、飯田街道、上街道、下街道をゆく旅人の便をはかっていた。問屋場には、槍や刺又、突棒が備えられ、他国からの不審者に目を光らせていた。

 寛文5年(1665)からは、飛脚問屋が置かれ、江戸と名古屋との書状や荷物の取扱いを始めた。江戸まで、7日間で届いた。本町通と伝馬町筋との交差地点には、高札が建っていて、札の辻と呼ばれた。

 伝馬町には、多くの名門、旧家が軒をかまえていた。そして明治時代になると、銀行が相次いで店を構えて〝名古屋のウォールストリート街〟になった。

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序文

第1部 明治前期

第2部 日清・日露戦争時代

第3部 明治後期

第4部 「旧町名」を語りながら

碁盤割と呼ばれた名古屋の街並み
興味深い旧町名 その① 
長者町
興味深い旧町名 その② 
伝馬町
富豪はどこにいたのか? 旧町名をもとに調査してみた
電話帳から垣間見る明治名古屋商人の活躍