第4部 「旧町名」を語りながら名古屋の歴史を楽しむ

興味深い旧町名 その① 長者町

 名古屋市は、昭和40年(1965)前後に町名変更を行った。近代化とか、合理化が目的だったそうだが、著者にいわせれば、歴史に対する冒とくであり、許されざる破壊行為だ。

 それまであった町名は、由緒ある素晴らしいものが多かった。その一つが「長者町(ちょうじゃまち)」だ。長者町は、伝馬町筋を境にして、カミとシモに分かれていた。

長者町
長者町3丁目『写真に見る明治の名古屋』
(名古屋市教育委員会編)より

 長者町を有名にしたのは、上長者町かいわいを根城とする盛栄連の姐さんたちだ。絃歌と嬌声のさんざめく巷へとスタートしたのは文化文政年間(1804~1830)で天保の頃が第一期黄金時代、明治6年(1873)、盛栄連が結成されると、その名声はいよいよ高く、天下の名士は千客万来、長者町通だけでも人力車詰所が5カ所もできた。芸者置屋は34軒80人(大正3年/1914調べ)、盛栄連のよき時代であった。

 なお、長者町が繊維街になったのは戦後である。

 写真は明治初期に上長者町3丁目から城の方向を写したものだ。なお、上長者町3丁目は、河文の南西近辺である。

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序文

第1部 明治前期

第2部 日清・日露戦争時代

第3部 明治後期

第4部 「旧町名」を語りながら

碁盤割と呼ばれた名古屋の街並み
興味深い旧町名 その① 
長者町
興味深い旧町名 その② 
伝馬町
富豪はどこにいたのか? 旧町名をもとに調査してみた
電話帳から垣間見る明治名古屋商人の活躍